こんにちは!皮膚科医ママのこはるです。
今回は、私が第一子を出産したときの体験をレポートとしてお届けします。
初めての妊娠・出産は、わからないことや不安がいっぱいで、特に臨月が近づくにつれて「無事に出産できるのか?」や「陣痛に耐えられるのか?」という不安が大きくなりますよね。
現在、私は第二子を妊娠中ですが、改めて第一子のときの出産を振り返ることで、自分自身の備えにもなりますし、これから出産を迎える方々にとっても参考になるかと思い、今回第一子出産体験記を書くことにしました。
また、病院側の対応に対して不満を感じた部分もあり、感じたことをお伝えできればと思います。
私自身、医療従事者としての立場からも学びが多かった出産でした。
その経験を通して、病院選びの参考にしていただければ、と思います。
写真や画像のない、文字ばかりのノンフィクションのような記事となりますが、最後まで読んでいただけたら、と思います。
入院前の経過
妊娠28週のときに切迫早産と診断され、そこから約2か月間、管理入院をすることになりました。
そのときの詳しい体験については、【体験記①・②】にまとめていますので、よろしければそちらもご覧ください。
そして妊娠37週を迎え、ようやく退院となりました。
切迫早産後の退院、そして退院後初の妊婦健診
妊娠37週で退院したあと、38週で妊婦健診を受けに病院へ行きました。
まずはNST(ノンストレステスト)から。
切迫早産であれだけ長く入院していたのに、「あの張りはなんだったの?」と思うほど、お腹はすっかり落ち着いていました。
赤ちゃんの推定体重は2851gで、週数相当とのこと。
そして…噂に聞いていた「内診グリグリ」もありました。
医師からは「今日明日は出血があると思いますが、あさって以降も続くようならお電話くださいね」との説明がありました。
出血は一度落ち着いたものの…まさかの入院へ
翌日には一度落ち着いた出血ですが、さらにその翌日のお昼頃、再び少量の出血が。
調べてみると、「内診グリグリ」のあとに数日出血が続くことはあるそうですが、妊婦健診で「あさって以降も続くようなら病院に連絡を」と言われていたので、念のため病院に電話しました。
すると、まさかの返答。
「念のため、入院準備を持ってきてください。」
え…?入院?「念のため」だよね?と半信半疑で病院へ向かいました。
その日は休診日だったため、インターホンを鳴らすと、
「入院準備、全部お持ちですか?持ってきていただければご案内します。」
えっ…?診察前から入院させる気、満々じゃん…(笑)
そのまま陣痛室に案内され、NSTモニターを装着することに。
そして、またしても内診グリグリ(今回はもう激痛…!!)。
「え、これ産ませにきてる…?」と感じるくらい、強めでした。
その直後、NSTモニター上に規則的な陣痛のような波形が出現。
それを見た先生がひとこと。
「お、陣痛ついてきたね〜!そのまま入院ね!」
と、あっさり入院が決定。
切迫早産体験記でも書いたのですが、私はおそらく急産リスクが高い妊婦だったので、とくに誘発分娩の適応がなかったものの、そのまま入院管理で誘発分娩にもっていきたかったんだと思います。
この時点で、入院の必要性や誘発分娩についてきちんと説明いただきたかったな、と今振り返っても強く思います。
急いで夫にLINEで「まさかの入院になっちゃった…」と連絡すると、「えー!?」と驚いていました。
夫の仕事からの帰宅も待たず、そのまま入院に。
ただ、その夜は特に何も起こらず、朝になるとお腹の張りもすっかり落ち着いていました。
学生助産師さんが担当につくことに
入院後、陣痛室で休んでいると、学生の助産師さんが挨拶に来てくれました。
切迫早産で長く入院していたこともあり、病棟スタッフの方には私の性格が伝わっていたのか、医師という職業柄、学生がついても抵抗ないだろうと思われたのか。
看護師から、
「実習で学生の助産師を担当につかせていただいてもよろしいですか?」と聞かれ、承諾。
同意書にもサインしました。
特に学生がつくことに対してはなんの抵抗も感じることはありませんでした。
部屋案内でちょっとモヤっとした話
入院後、部屋を案内されるときのこと。
「出産入院の方は、大部屋ではなく、個室を案内することになっています。個室が空いていないので、特室でもよろしいですか?」と聞かれました。
特室の料金を確認すると、案の定高額で、
「いや、切迫で長期間入院も経験していますし、私は大部屋でも構わないとお伝えしようとしていたくらいです。この金額はちょっと…。もしどうしても空いていないなら仕方ないですが、それはそちらの都合ですし、費用については相談させてください。」と伝えると――
「そうですか、それでは、個室が空きましたので、そちらをご案内しますね。」
…え、空いてたんかい!笑
「もしかして、売上のため特室案内しようとしてた?“医者だし特室でもお金に困らないだろうし、文句ないでしょ”って思われた…?」と、少し不信感がよぎってしまいました。
もちろん、お産が緊急で入る可能性もあり、それも想定して個室をあけておきたかったという事情だったのかもしれませんし、医療現場も経営の視点は必要だということは理解しています。
でも、まだ入院しなくてもいいといえる状況で私を入院の流れに持って行ったのは病院側だし、個室が少ない状況だったのも病院側の都合だし。
特室希望でもない私に特室を案内するなんて。
患者としては「本当に空いてなかったの?」とか「職業で判断されたのでは?」と感じてしまうのも正直なところでした。
入院2日目
8:00
前日のお腹の張りも落ち着いたな〜と思いながら朝食を食べていると、部屋の電話が鳴りました。
「診察がありますので、降りてきてくださーい」と。
朝食を食べ終えたら歯を磨いて、出産の際に使うカバンの中身をそろえたいな〜と思っていたのですが、突然の呼び出し。
「今、朝食中ですが、すぐに降りた方がいいですか?また部屋に戻ってこられますか?」と聞くと、
「また戻れると思いますけど……とりあえず順番なので来てください」との返答。
え〜…と思いつつ、朝食を途中まで食べたまま外来へ。
NSTをしても陣痛は全くなし。
そして、またしても 激痛の「内診グリグリ」。
案の定、またお腹が張ってきて、そのまま陣痛室に“隔離”されてしまいました。
「全然部屋に戻れないじゃん…」
9:00頃
陣痛室で横になっていると、先生が再び登場。
「バルーンを入れて誘発します?自然に任せてもいいけど、それだと無駄に入院期間が延びちゃうからね」と。
いやいや、入院が無駄に延びちゃうって…笑
そもそもお産が進んでないのに入院させたの、そちらでは…?
こちらは誘発分娩の説明なにも受けてませんけど…という気持ちをぐっと堪え、
「じゃあ、お願いします…」と返答すると、「準備しますね〜」とのこと。
そこで私が、「バルーン入れる前に一度部屋へ戻ってもいいですか?朝食も途中ですし、分娩室に持ち込むカバンの中身もまだ準備途中で…」と聞くと、
「じゃあ、バルーンの処置をしてから、帰れるタイミングがあったら戻りましょう!」と、さらっと流されました。
10:00頃
バルーンを入れた後、陣痛のような鈍痛が始まりました。
とはいえ、まだ全然我慢できる程度で、気を紛らわすために、横になりながら小さい音でYouTubeをひたすら視聴。
そこへ、また先生がやってきて診察。
「おっ!もうバルーン抜けるね。人工破水しちゃいます??このペースなら、順調にいけば今日中に生まれるかもよ〜」とのこと。
いや、あの…
「人工破水はいいんですけど、さっきから何度も、お産が進む前にいったん部屋に戻りたい」って言ってるんですが…
と、再度その旨を伝えました。
でも先生としては、バルーンチェックの診察の流れでそのまま人工破水も済ませたかった様子(きっと手間だからと思います)。
結局、「じゃあ、破水しますね〜。様子見て、タイミングがあれば部屋に戻ってもらいましょうか!」と言われ、そのまま 人工破水の処置をされました。
11:52
もう痛みで悶絶していました。
正確な時間は覚えていませんが、母子手帳の記録を見ると11:52。
この頃には陣痛がマックスに。
その時点で、もう痛みで部屋には戻れない状況になっていて、正直かなり腹が立っていました。
でも、痛みが強すぎて文句を言う気力もなし…。
とりあえず、準備途中だった分娩室に持ち込むカバンの場所を看護助手さんに伝え、持ってきてもらいました。
本当は、朝食後にペットボトルのお茶にストローをセットしておく予定だったのですが、それもできず…。
そのため、カバンの中から1000円札を取り出して、「なんでもいいのでお茶を買ってきてください!」とお願いしました。
こんなに急速にお産が進むとは思っておらず、夫への連絡もこのタイミングとなりました。
でも痛みでまともに話せなかったため、途中で看護師さんに電話を代わってもらい、状況を伝えてもらいました。
12:30
昼食が運ばれてきましたが、もちろん痛みで一口も食べられず。
そんな中、看護師長さん(?)と、前日挨拶に来た学生さんとは別の助産師学生が分娩室にやってきました。
「実習でこの学生を担当につけようと思うのですが、ご許可いただけますか?」と。
え!?今このタイミングで!?
しかも昨日の学生と違うし、ちゃんと同意書にサインもしたのに?
「あの…昨日、別の学生さんが来てサインもしたのですが、どういうことでしょうか?」と尋ねると、看護師長さんは「え?あれ…?」とよく把握していない様子。
もう痛みが限界で、学生のことなんて正直どうでもよくなっていました。
「もうなんでもいいです。いいですよ。」と、投げやり気味に了承。
すると、「では、同意書を読み上げますので、聞いていただけましたら、こちらにサインいただけますか?」と。
そして、看護師さんによる同意書の文章の音読が始まりました。笑
いやいや、この痛みの中で同意書の音読なんて聞いてられないから笑
あと、サイン今じゃないとダメなの!?
しかも昨日したんですが!?!?
怒りを抑えきれず、「サインとか、あとでもいいですか?痛すぎて、もう今は無理です」と返しました。
その後、結局学生さんが付き添ってくれることに。
でも、結果的にその学生さんは本当に素晴らしかったです。
ずっと腰をさすってくれたり、押してくれたり、お茶を渡してくれたり…。
あのときは痛みで気持ちに余裕がなくて「なんで今なの!?もうなんでもいい。」って思ったものの、受け入れてよかったと、心から思いました。
15:40
ひたすら陣痛に耐え続け、ついに子宮口全開大。
15:43
出産!!!
本当に、3回くらいしかいきまなかったのに、スルッと産まれてきてくれました。
切迫早産だったからか、初産にもかかわらず分娩時間は3時間51分。
想像以上のスピード出産でした。
陣痛は叫ぶタイプ?静かタイプ?笑
陣痛はとにかく痛かったけれど、「耐えたらかわいい赤ちゃんが産まれて、この痛みから解放されるんだ!」と思うと、なんとか耐えることができました。
また、陣痛には波があって、「休憩に集中して呼吸を整える」と意識することで、なんとか耐えられました。
また、出産時に叫ぶタイプと静かなタイプに分かれると言いますが、私は後者でした。
叫んでも痛みは変わらない、むしろ叫ぶことで体力が消耗するような気がして、ひたすら呼吸に集中して耐えていました。
陣痛ってどんな痛みだろう‥と不安を抱えている妊婦さんたくさんいるかと思いますが、どんなに長くても、終わりが必ずきます!頑張ってくださいね♪
医療従事者として感じたこと・学んだこと
私の第一子出産には病院の対応に少し不満が残りました。
もちろん、子どもが元気に健康で無事に生まれてきたことに心から感謝していますし、切迫早産で、結果スピード出産だったことを振り返ると、(説明もなく、無理やりだったけど)誘発にしたのは安全策だったのかなと思ったりもしています。
私も医療従事者なので、「安全を最優先にしたい」という病院側の意図や、人手の問題で「日中に処置やお産をできるだけ終わらせたい」と考える気持ちは理解できます。
でも、同じ医療従事者だからこそ、病院の都合が見え隠れしてしまい、説明不足がとても気になりました。
なんの予告もなく、急にお産の段取りをすすめられたので、準備が間に合わなかったことが本当に残念でした。
誘発分娩の説明や、必要性等は、いくら時間がなくて面倒でもきっちりすべきだと思います。
処置前に何度も「部屋に戻りたい」と伝えたのに、「とりあえず処置して、戻れたら戻ろう」の繰り返しが納得できませんでした。
また、学生の同意書のサインなど、陣痛の真っ只中に求めるべきではないと思ってしまいました。
(※私は産婦人科が専門ではありませんので、私の理解不足や間違った考えなどあればご指摘いただければ、と思います。)
おわりに
産婦人科の先生方は昼夜問わずお産の対応に追われ、激務の中で働いていることを理解していますし、出産という病気ではない現象を扱う難しさや、訴訟の多さからくるストレスも重々承知しています。
結果的に、無事に可愛い娘を取り上げてもらえたことには感謝の気持ちしかありません。
とはいえ、第二子は他の病院を選びたいと思ってしまいました(笑)。
それでも、医療従事者として一患者の立場を経験し、多くのことを学ばせてもらいました。
貴重な体験をさせていただいたことに感謝しています。
あなたの出産体験はどうでしたか?
私のこの体験記が、皆さまの病院選びの参考になれば嬉しいです。
また、医療従事者の方にとっても、患者さんへの対応を振り返るきっかけになったり、ご自身の行動を見直すヒントとなれば幸いです。
あなたの出産が、素敵な体験となりますように。
またね♪
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