こんにちは!皮膚科医ママのこはるです。
現在、第二子を妊娠中の私ですが、今回は出生前検査の一つであるNIPT(出生前遺伝学的検査)を受けました。
第一子妊娠時にはNIPTを受けませんでしたが、今回は受けるという選択をしたので、その背景や理由、検査の概要、結果などについてお話ししたいと思います。
※この記事には中絶などデリケートな内容が含まれます。不快に感じる可能性がある方は、ここで読むのをお控えください。
NIPTとは? 〜検査の概要〜
- 対象週数:妊娠9〜10週以降
- 方法:母体の血液から約10〜20mlを採取し、cfDNA*(染色体が細かく分解されたもの)を分析
- 検査対象:3種類の染色体
21トリソミー(ダウン症候群)
18トリソミー(エドワーズ症候群)
13トリソミー(パトウ症候群) - 結果:
陽性(疾患の可能性が高い)
陰性(検出されず)
判定保留(再検査または羊水検査が必要)
*cfDNA(セルフリーDNA)は、早ければ妊娠5週、ほとんど妊娠9週までに母体血中に検出されるようになります。胎児セルフリーDNAの相対濃度は、妊娠10週から約20週までは妊娠月齢とともに緩やかに増加し(1週間あたり0.1%)、その後、正期産までは1週間あたり1%と急速に増加していきます。
陽性と出た場合は遺伝カウンセリングを受け、羊水検査(約300分の1で流産リスク)による確定診断が必要です。
なお、日本では0.3〜0.4%程度が判定保留となる可能性があります。
NIPTでわかること・わからないこと
NIPTは、出生前診断のひとつとして非常に精度の高い検査ですが、それでもすべての障害や疾患がわかるわけではありません。
例えば、産まれてくる赤ちゃん100人中に3~5人ほどは先天的な疾患をもって産まれてくると言われていますが、
⇒この中で染色体が原因の疾患は約25%
⇒NIPTの検査対象である3つの染色体疾患はその中のさらにその約70%
⇒⇒⇒つまり、3つの染色体疾患のある赤ちゃんは100人あたり0.7人
ということになります。
また、まれにですが、NIPTの検査を通して母体側の疾患(染色体異常や悪性腫瘍など)が発見されることもあるとされています。
NIPT認証施設と認証外施設について
日本ではNIPTを提供する医療機関は「認証施設」と「認証外施設」に分かれます。
- 認証施設:国の認証を受けた施設で、検査前後に十分な説明とフォローが行われる。対象疾患は21・18・13トリソミーのみに限定。
- 認証外施設:美容皮膚科や内科など、妊娠や胎児に専門性のない施設でも提供可能。メールや郵送で結果が届く場合もあり、陽性でも十分な相談ができない可能性がある。
認証外施設ではそれ以外の疾患の検査も実施していることがありますが、認証施設では、それらの検査の陽性的中率はかなり低く、検討課題がまだ多い検査だとして実施していません。
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認証施設の拡充と年齢制限撤廃
2022年春以降、認証施設での年齢制限が撤廃(今までは35歳以上に限定)され、誰でも受けられるようになりました。
2022年秋には、新たに204の医療機関が認証されました。
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今回、私たちがNIPTを受けることにした理由
NIPTを受けた一番の理由は、私たち家族の将来を考えての判断でした。
染色体異常をもつ子供が生まれた場合でも、その子の人生にたくさんの価値があることはもちろん承知しています。
ですが、たとえばダウン症のお子さんの平均寿命は60年近くとされており、長期的に家族全体の生活に影響があることも事実です。
私たち夫婦は共働きで、今後も働き続けることを想定しているなかで、もし重度の障害がある子が生まれた場合、仕事を今まで通り続けるのは難しくなるかもしれないと思いました。
また、第一子である娘に過度な負担がかかる可能性も考え、第二子では受検する決断に至りました。
もし陽性と出た場合は、羊水検査を行い、それでも陽性の結果だった場合は、中絶も視野にいれていたと思います。
第一子のときはなぜ受けなかったのか?
第一子妊娠時は、以下の理由からNIPTを受けない選択をしました。
✓ 当時、県内に認証施設がなかったこと
✓ 私の年齢が20代で、認証施設での検査対象外だったこと
✓ 認証外施設では結果通知やアフターフォローが不十分と感じたこと
認証外施設では陽性が出ても具体的な相談先がない場合が多く、仮に偽陽性だったとしても、それを見極めたり相談する施設を自力で探したりするのは非常に難しいと感じました。
羊水検査を別の施設に依頼する段取りを自分で組むのもハードルが高いと判断しました。
また、当時はリスクが非常に低いとされる年齢であることもふまえて、夫婦で十分に話し合った結果、見送りました。
今回の検査結果について

今回は、認証施設で妊娠10週3日の時点で検査を受けました。
一般的に、妊娠10〜14週で採取されたサンプルの胎児ゲノム率(胎児分画)は約10%前後。
必要とされる最低ライン(4%)を大きく上回っており、無事に**「陰性」**という結果を受け取りました。
結果を見た瞬間、正直ホッとしました。
もちろん、「検査でわかるのは一部だけ」「産まれてからわかる障害もある」という意見ももっともですが、限られた情報のなかで自分たちなりにできる選択をしたことに後悔はありません。
おわりに
NIPTを受けるかどうかは、家庭ごとにさまざまな考え方があると思いますが、陽性と出た場合に、どのような選択をするのか、予め夫婦でしっかり話し合ってから検査を受けるべきだと思います。
この体験が、同じように迷っている方の一つの参考になれば幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
またね♪
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